ユーロ/円相場は、98円水準までじり高の展開になっている。特に積極的にユーロを買い進む材料は見当たらないが、欧州債務問題が膠着 化する中、ユーロに対するショートカバーが先行している。米経済指標の改善を手掛かりとしたリスクオンの地合も、ユーロに対してポジ ティブになっている。7月6日以来のユーロ高・円安水準を更新している。
欧州債市場では、スペイン10年債利回りが7週間ぶりの低水準を記録するなど、債務問題に対する警戒感が後退している。欧州中央銀行( ECB)が重債務国の国債利回りに上限設定、国債の買い支えなどの対応策を実施するとの期待感が広がっている。ドイツ連邦銀行(独中央銀 行)は、ECBによる国債購入は「無制限」になりかねないとの批判を展開しているが、マーケットは追加対応策の催促相場と化していること で、政策対応期待の高まりがユーロを押し上げた。
もっとも、今週はユーロ圏の主要経済指標の発表が控えていることで、ユーロ高にはブレーキが掛かり易くなる見通し。また、独仏首脳 会談、ギリシャ・独首脳会談などの政治イベントも控えており、ユーロの反落リスクが高まり易くなっている。特に、ギリシャ政府は115億 ユーロの歳出削減策の実行期限延長を求める可能性が高く、欧州内の足並みの乱れが確認されると、ユーロの下振れリスクが意識されよう 。
今後1週間の予想レンジは、96.50~99.00円。